廃車が放置された島。それでいいはずがない

以前の話ですが、全国の離島地域で使用済み車両の放置が
社会問題となっていた頃、御蔵島においても、
使い終えた車がそのまま山に放置されていました。
処理の仕組みがなかったことで、
当たり前のように積み上がっていく廃車の山。
今ほど環境問題の話題があがる時代ではありませんでしたが、
このままでいいはずはない。
当時、私は村役場職員として島の将来を考え、
島外搬出による処理の仕組みづくりに取り組みました。
島外搬出となると海上輸送にお金がかかり、
当然、島民への負担は重くなります。
当初は、「今まではタダで放置できたのに」という言葉も
聞こえてきました。
でも、いつか誰かがやらないといけないこと。
だったら私が今やろうと、意志を貫き行動しました。
今では放置された車もありません。
キレイになった山を見ると、
行動を起こして良かったなと思います。

私自身、御蔵島の出身だからわかるのですが、
島の暮らしにとって役場の存在は非常に大きいです。
イルカを中心とした観光事業こそ大きくなっているものの、
300人が暮らし続けていくためには、
もっと他の産業も育っていかないといけない。
幸い島の外から移住してきてくださった方の新しい視点も
加わり、島の特産品である黄楊(ツゲ)や桑を使った商品の
開発など、民間主導で新しいことをやろうという声は
大きくなっているので、行政も全力で応えたい。
そのためにも、まず私たち役場が
取り組まなければいけないのは、家の問題です。
平地の少ない御蔵島にとって永遠の課題ではありますが、
2年後には5戸、10年後には30戸という
高い整備目標を掲げています。
家が増え、人が増え、御蔵島が活気づく。
そんな島の未来を作るために、新しい仲間を増やし、
役場としても果敢にチャレンジを続けていきます。

Profile

御蔵島村出身。後継ぎとして島に戻り、村役場職員として従事。
2023年からは村長として、島民の生活を支える。
お互いを気にかけ、みんなで生きる島の文化を守り続けたい。