過去に一度、私は村役場職員を辞めたことがあります。
そのタイミングで、島を去るという選択肢もありましたが、
妻と息子以外に家族と呼べる存在が島中にいたため、
悩むことなく島に残りました。血縁はありませんが、
心を許せる家族のような存在がたくさんいる。
そこが御蔵島で暮らす一番の理由です。
息子が小さかった頃は、
近所のおばちゃんに面倒を見てもらったし、
妻の体調が悪い日はご飯までつくってもらった。
息子も高校3年と大きくなったし、
これからはもっと「島の家族」に恩返ししたい。
自分が島に貢献するにはどうすればいいかと考え、
改めて村役場職員になりました。
島の環境は都会と比べて特殊です。
私にとって心から大切な「島の家族」がいて、
好きな格好で気楽に働ける場ではありますが、
人によっては違うかもしれません。
だから私は、島暮らしを人にすすめることも、
止めることもしません。
興味を持ったら島に来てもらい、
辛くなったら離れればいい。
私が御蔵島に来たのは30代の頃。
隣近所との人間関係が希薄な都会の暮らしに違和感を覚え、
人とのつながりを求めて来ました。
正直な話、都会で嫌なことは御蔵島にもあります。
初めのうちは、外から来た人という目線は少なからずある。
私のときもそうでしたから。
ただこの島には、自分を隠さずに向き合えば、
人を選ばず受け入れてくれる温かさがある。
ぜひ自分の目で見て判断してください。
Profile
東京都小平市出身。
心理学を専攻する傍ら生物学を学び、
選挙関連のアルバイトを経て環境衛生に興味を持ち清掃業界へ。
人とのつながりを持てる暮らしを得るため御蔵島へ移住した。