「物がないなら自分たちで作る」という文化は衝撃的でした。
ケーキ屋さんがないので誕生日ケーキは家で作る、
花屋さんがないので卒業式で飾る花は山に行って摘む。
なければ作るという考えが、御蔵島では当たり前です。
英語教師として島に来てすぐの頃は、
こんなことも自分たちでやるんだと驚くことばかりでしたが、
気がついたら普通になっていました。
イベントも、なければ作るのが当たり前。
最近もフラダンス仲間とハワイアンナイトのイベントを
企画しました。自分たちで内容を決めて、
ふれあい広場に島民のみなさんに集まってもらい、
食べ物や飲み物を振る舞い、自分たちは踊る。
フラダンスのほかにも、島にはいろいろな社会体験の集まりが
あって、お互いのイベントに参加したりしています。
暮らして感じる御蔵島の良さは、
生活エリアが小さくまとまっていて、
人との距離が近いところ。
まず物理的な距離でいうと、家も職場も学校も商店も、
歩いて5分くらいのところにあるので、移動距離も短くて楽。
選択肢が少ないのも逆にいいところ。
都会だと食事をするにしても、どこの店かを選ぶのに
疲れますが、御蔵島だとお店も限られるため、
選択肢が少なく余計なことを考える労力もいりません。
人との距離でいうと、島民が村長や議員とも
普通に世間話できる近さにいるのがいいなと思います。
都会であれば多分関わらないような人とも関わり、
お互いの状況を理解しながら行動できるため、
助け合いも自然に生まれる。島民が少ない分、
一人ひとりの意見が反映されやすいという感覚もあります。
こんな環境でありながら、実は東京っていうのもね。
必要があれば都会に出て行き、
選択肢を持てるのも御蔵島ならではです。
Profile
出身は岩手県。御蔵島小中学校の英語教員として勤務した後、
御蔵島出身のご主人と結婚。現在は、「宿にしかわ」の運営を担当。
子ども・子育て支援の充実を目指し、現役ママ代表として御蔵島村議員を務める。